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マリー・アントワネットの恋人 (藤本ひとみ 集英社文庫)
  「有体に申せば、今のフランスの状況は、あの国の力を弱めている。それはそれで結構なことだ。だが反乱が過熱し過ぎ、王政がくつがえされるようになってはまずい。それは早晩、我が国にも波及し、帝室に抵抗する勢力に力を与えるからだ。こちらとしてはそんな事態に陥らないように、王家と叛乱勢力を上手く御し、均衡を図っていきたい」(レオポルド2世)


 時代的に『ハプスブルクの宝剣』の次世代に当たる作品。

 主人公はハプスブルク家に仕える架空の青年貴族であり、その独特の軽さと聡明さの取り合わせがまずはとにかく素晴らしい。

 (特に冒頭部分で厳格な祖父に女遊びを咎められた時の「男が女の尻を見染めなくなったら人類は滅亡いたします」とか。)

 物語は、時代の趨勢が「国家の事情が君主を動かす」方に変化しているのを鋭く洞察した、彼が動乱のパリに送られ、その趨勢を無視して憚らず、そのためには実家を大戦争に巻き込むのも一切辞さない、マリー・アントワネットを如何に抑止するかで四苦八苦する姿を様々に映し出す。

 (別の作品でも再三に描かれているが、とにかく藤本先生のアントワネットに対する評価は辛く、フェルゼンの描写などは実に失笑物と言うべきか。)

 その中で描かれる、アントワネットの数多い兄弟たちや、フランス革命の関係者たちの描写も必見で、関係者と観察者の二つの目を通して語られる、彼らのなんと魅力的な事。

 そして最後のクライマックスは、ある意味で王権に止めを刺した、例の「国王逃亡事件」に絡んでの事となるが、妙にサバサバした主人公の最後の描写ぶりがむしろ印象的というか。


 ちなみに自分が初めて読んだ時のタイトルは『ウィーンの密使 ― フランス革命秘話 ― 』であり、むしろ個人的にはこちらの方が好み。

 解説文の内容も含め、どちらかといえば古書店などで講談社文庫版を入手されることをお勧めしたいところで。
author:jinhosio, category:小説, 21:14
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