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- 傷モノの花嫁 (友麻碧/講談社タイガ)
- 王妃マルゴ (萩尾望都/集英社)
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2023.04.17 Monday
今年注目の歴史漫画。
ヴァロワ朝からブルボン朝への転換期のフランスを舞台に、新旧の宗教対立も絡んで進む物語。
主人公はヴァロア家の最後の生き残りともなる、悪名高きマルグリット・ド・ヴァロワ。そして彼女を巡る「三人のアンリ」である。
但し政治劇としての主役は、むしろ彼女の母であるカトリーヌ・ド・メディシスとも言え、彼女が見せる硬軟両用の政治的な「駆引と取引」の見所の一つ。こちらも悪名高きサンバルテルミーの逆説を巡る顛末と解釈も興味深い。
またフランスの周辺である各国の大物、エリザベス1世やフェリペ2世などの動向も見逃せない。
特に重要なのは、フランス王妃の時期もあったメアリ・スチュアートに関する部分。その時期に関する彼女の動静は比較的描かれないので、そちらもまた注目である。
- 持統天皇物語 天上の虹 (里中満智子/講談社)
- ヒトラー ー 虚像の独裁者 (芝健介/岩波新書)
- モンテ・クリスト伯爵(森山絵凪、アレクサンドル・デュマ/ジェッツコミックス)
- アンゴルモア 元寇合戦記(たかぎ 七彦/角川コミックス・エース)
- 私の少年 (高野ひと深/講談社)
- 承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 (坂井孝一/中公新書)
- 戦争を始めるのは誰か 歴史修正主義の真実 (渡辺惣樹/文春新書)
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2017.02.09 Thursday
久しぶりに読みふけった歴史考察の一冊。
基本的に従来の「ナチス絶対悪論」を排し、それ以外の国々(特にアメリカ)の戦争責任を追及しようとするのが眼目らしい。
ただしそれを重視する余り、ナチス(とドイツ国民)の応分の責任をも排そうとする側面もあって、全面肯定には躊躇せざるをえない面もある。
特に直接ではないが、むしろ「ナチスをそのまま東方に進ませてソ連にぶつけるべきだった」「そうなれば西側は安泰だった」ととられかねないニュアンスもあり、その犠牲になる東欧国民についての配慮も伺えない。
(ポーランドやチェコについては「強欲な小国」として、むしろ悪意す感じられる。)
なかでも気になるのがイギリスについての分析。
イギリスの支配層がベルサイユ条約の過酷さを修正しようとした事を割かし肯定的に描いているが、前大戦末期に国民を扇動して妥協を難しくさせ、かつ講和を引き延ばした事についての記述もいささか甘い。
特に一番肝心なのはベルサイユ条約の過酷さを反省しつつも、その改定を自ら行わず、いわば「なし崩し」に行おうとした点であり、その辺りについての記述も甘い。
またチェコ崩壊後のチェンバレンの対ポーランド保障についても触れているが、これについても当時動揺していた海外植民地に対する威信問題についての要素も欠けており、チェンバレン個人に責任を押し付け気味になっているのもいささか引っ掛かる物がある。